2017年12月27日 報道ステーション

2017年12月27日 報道ステーション

12月27日 テレビ朝日「報道ステーション」の報告です。

12月27日の報道ステーションはどのような報道を行ったのでしょうか?

今回の放送で一番時間を割いた話題は「いずも空母化計画構想」についてのニュースでした。
いずもは現在、海上自衛隊が運用している護衛艦のことで、大型ヘリを5基まで搭載することが出来ます。このいずもを、戦闘機を搭載することができる、いわゆる「空母」に改修しようという構想が防衛省内部で浮上している、というのがニュースの内容でした。

さて、この日の放送で検証したいのは、「生活保護費引き下げ」について報じた部分です。

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小川アナ「年の瀬の東京の夜です。もう生活費のどこを削ればいいのかわからない。生きた心地がしない。当事者からはそんな悲痛な声が聞こえてきます。政府は生活保護の支給額を引き下げる方針を決めました。」

小川アナが、神妙な面持ちで生活保護受給者たちの実態について語った後、VTRがスタートします。
VTRの冒頭、東京都内で生活保護を受給しながら生活する、50代の女性を紹介されます。
ナレーター「食事は1日2食。食費を削るため、夕食は食べません。暖房も滅多につけません。」
女性は、10年前に同僚の借金を肩代わりし離婚。その後重度のうつ病になり、働けなくなったために、生活保護を受けてるようになったと語ります。
現在は、ひと月13万円を受給し、家賃を抜いた77000円で生活していますが、今回の引き下げで、4000円程度受給額が減少する見通しであるそうです。

女性「4000円削られると、食費や光熱費はもっと抑えていかないといけない。主治医からは、とにかく栄養失調を指摘されているので、魚類や肉類を取るように言われていますが買えなくなる。」

その女性の後ろ姿を映しながら、生活保護は、来年10月から基準額が見直され、約7割の世帯で受給額が減少することも伝えます。
番組は、最も減る世帯のモデルケースとして、都市部に住み、両親がいて、子供が2人いる世帯を例に上げ、この世帯は月に9000円、支給額が減らされる見通しだと報じます。

その後、厚生労働省に陳情を行った人の声も紹介し、厚労省が5年に一度、生活保護費の基準額の見直しを行っていることに言及します。基準額は、生活保護を受けていない世帯の年収が下から10%の層に合わせられているそうです。
そして、今年度の基準額が引き下がったのは、この層の生活費が下がり、生活保護受給者の生活費を下回ってしまったからだと説明します。

最後に、加藤勝信厚労相の「それぞれの消費の実態と現行の生活保護費の水準にバラつきがあるのでその辺を是正していく。」という発言の映像を放送して、カメラはスタジオに戻ります。

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スタジオでのやり取りは以下の通りです。
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富川アナ「景気は良くなっているはずなのに、低い方、低い方に合わせていくという、正に負のスパイラルになっていますね。」
後藤氏「そうですね。VTRにもありましたけれども、この生活保護費の受給額なんですが、所得の低い家庭の消費水準に合わせるわけですね。そういう人たちは自ずと慎ましい生活をしてるわけですね。自ずと数字は下がってくるのは当たり前なんですね。つまり、生活保護費の減額、これを当初からもくろんだ計算方式だと言われても仕方がないんですね。(以下中略) 一方で、今安倍政権はですね、経済界には3%のベアをやるようにと、促してるわけですね。片っぽはほぼ5年間固定されるのに、一方は上げていく。どんどん格差が広まっていってですね、日本の格差社会の固定化、そして貧困の連鎖という新たなスパイラルを生んでしまう。そういう状況に今置かれてるわけですよね。もう一度その水準をどこに置くのか。生存権とは何かというのを基本に立ち返って、この生活保護費の問題を考えると。そういう段階に来ているんではないかと思いますね。」
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「生活保護費が減少する中で、安倍政権が経済界に3%の賃上げを要請することは、社会の格差固定を招いてしまう。」
後藤氏のコメントを聞いた視聴者はこう解釈するでしょう。
しかし、景気が良くなってくる中で、総理大臣が賃上げを要請することのどこに問題があるというのでしょうか。後藤氏は人々が豊かさを享受することを否定しているんでしょうか。
このような報じ方は、印象操作と言わざるを得ません。

来年以降も引き続き、監視を続けます。

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